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›2004年01月12日

アジアン・ジャパニーズ2

Posted by hebee at 21:41 / Category: BOOK / 15 Comments / 372 TrackBack
アジアン・ジャパニーズ〈2〉

ということで、早速アジアン・ジャパニーズの第二巻を買ってみた。

今度は、アジアはベトナム、そしてアジアを離れてフランスのパリに行ってます。
第一巻とはちと違う。今度は「働く人」をターゲットにしている。

第一巻ではアジア各国の安宿で出会う旅行者をターゲットにしていたけど、今度はベトナム、パリで働いていたり、留学していたりしている、「目的」を明確に持った人達が対象になっている。

なぜベトナムとフランス?っていうと、ベトナムはフランスの植民地だったからという理由付けだと思うけど、まあそれは本のタイトル的に紐付ける必要があったからかなあと。

僕としては、ベトナム編よりもパリでの話の方が面白い・・・というか興味を持てた。第一巻では比較的曖昧な目的を持った人達を対象にしたインタビューであったように思える。しかし、今回は明確な信念を持った人が対象だ。作者の小林さんも「自分が求めている何か」を「さまよっている人」から「がんばっている人」へ代えてみて、自分なりの答えを模索しているのだと思う。そういう思いが伝わってきた。

実際、パリでの取材対象は日本からパリへと自分が暮らす場所を変え、そこで本腰入れている人達が多い。一巻とは、出てくる言葉の質が違う。

なにか不思議だけど、この本は単なるインタビューではなく、作者の成長過程を見ているようです。自分で出せない答えを他の人から探すような。そしてそれがたまたま旅人であるような。そういう思いが見れます。

›2004年01月05日

アジアン・ジャパニーズ

Posted by hebee at 00:09 / Category: BOOK / 20 Comments / 115 TrackBack

アジアン・ジャパニーズ

実家に帰ったとき、BOOKOFFにて見つけて読んだ。著者がアジアに旅行に出かけ、そこでであった日本人旅行者について書き綴ったものだ。

旅行記としては珍しい部類で、面白かった。実際、前に一人でタイに旅したときの事を思い出したりした。何気に一人で旅をすると印象的な旅行者に会うことが多いので、この本を読んでいてそうい人達を対象にして本を書くというのはうまいなあと思う。


僕みたいに社会人しながらたまに2週間くらい休んでバックパック背負って旅に出てると、中途半端だな~と思うときが多々ある。大体会う人達が濃いからだ。1年帰ってないよ~とか言ってる人が多いし、会社に属しているということで旅に出てもどこか現実を断ち切れない自分は、なんか必死にあがっているような感覚に襲われる。

でも、旅しながら会う濃い人たちと話すと結構面白い。こちらは現実を引きずり、相手は現実から遠い所にいる。で、適当に宿が一緒だったからという理由で、一階の食堂でビール飲みながら色々と話したりすると、刺激があっていい。やはりしばらく日本社会から離れてる人の意見というのは聞いてみると面白いし、はっとさせられる部分がある。

結構僕はこうしたことも一人旅の楽しみの一つだと思っている。

で、著者の小林さんはこの楽しみを本にした。ということで、うまいなと。
感覚も僕と似ていると思う。小林さんという人も日本の社会を捨てずに旅に出て、話を聞いてきたんだな~と。

そういえば、初めてタイに行ったときに「バックパッカーの心理」みたいな内容の論文(論文として成り立つのかよくわからんが)を書こうとしている女の子が同じ宿に泊まってて、アンケートに協力したことがある。後日、丁寧にも写真と共に論文が送られてきた。見て面白く読めたのを覚えている。旅に意味を持たせようとしている学生や、ただ流れていくだけの人の意見を比較すると面白い。

そういえば別の年にカオサンに行ったときも似たような学生がいたなあ。路上アンケートやってました。多分自分自身と同じ思い(例えば自分探しとかそういう理由)を持つ他人を見て癒されたいんだろうなあと客観的に思った覚えがあります。

アジアン・ジャパニーズは3巻まで出ているらしいので、またBOOKOFF行って探してこよっと。

›2003年12月14日

ニングル

Posted by hebee at 02:49 / Category: BOOK / 151 Comments / 361 TrackBack
ニングル

とある人に随分前に「ニングルは面白いよ!」と言われたので、早速その日家に帰ってからアマゾンで買ったのでした。しかしそのままにしてあったので、こないだの出張時に長い時間電車に揺られた時に一気に読みました。

このニングル、「北の国から」で有名な倉本聡さんが書いた本です。

ニングルとは北海道に住む体長15cmくらいで長寿(200歳以上生きてる)な妖精(なんだろうか?)の事だったりします。

それで、そのニングルは空想上の生き物だと思っていたけど、実はそうではないらしい、実在するってことに倉本さんは気づく。

ニングルのことに興味を持ち、調べているうちにあるニングルと倉本さんは知り合うことになる・・・・

最初、読んでいるうちにこの話があまりに具体的に進んでいくので、本当にいるのではないか?という気持ちになる。正直、今でもノンフィクションなのかフィクションなのかわからない。それで、そういう「いるか?」「いないか?」という川口探検隊(失礼、今は藤岡探検隊だ)チックなドキドキ感的小説なのかと思った。

でもそうではありません。

ニングルが「いる」とか「いない」とかはどうでもいい事で、この本は「人間の愚かさに対しての警鐘」を主題としている。ニングルを通して、今の人類がいかに自然をないがしろにし、傲慢に生きているかを訴えているのね。

ニングルは文明というものからかけ離れて暮らしており、自然の摂理と共に生きている。でも人間と同じ言葉で喋る。だから文明を理解する能力は持っているけど「知る」事を拒否している。

文明を理解してしまって元の生活に戻れなくなることを恐れているわけです。

しかし、ある若いニングル(といっても80歳らしいが・・・)は文明に興味を持ってしまい、精神的な崩壊が始まってしまうという悲しいこともこの本では起こる。

どちらかというと、自然がどうの~よりも、この文明社会のあり方についての話にはう~んとうなってしまうがあった。

最近は便利な世の中になって、家にいてもインターネットで何でも買えるし、定期はスイカみたいになっちゃって楽チンだし、ハードディスクレコーダーだし、新幹線は早いし、コンビニは年中無休の24時間営業だし、普段の暮らしの中では不便だなあ・・・と思うことは何もないわけだなあと感じるんですよ。

んでも、どこかで(しかも結構つまらんことで)不便さを感じてるわけですよ。つまり一回快適さを覚えてしまうと戻れなくなってしまうんですな。ちょっと客観的に考えれば全てにおいて充足しきっているのに。何が不満なんだろう。

で、そんな便利な日本なくせに、変な事件が起きたり、集団自殺があったり、金欲しさに援助交際したり、宗教にすがって事件起こしちゃったりと、リアルになんか変だよ最近ってことが多いなあと感じます。

便利なこと=幸せという方程式はもう、成り立たない事はわかっています。しかし資本主義のサガなのか、文明発達させて利益追求という道を進まなければいけなく、それが幸せなんですよ!って暗黙的になっているところに最近ストレスを感じてしまうと言うか。

私の仕事はSEで、客にこういうシステムどうですか~?便利になりますよ~?という売り文句で提案活動とかしてるわけですが、たまに便利さを無理やり押し付けているような錯覚に陥って「これでいいんだろうか・・・」と思ってしまったことが昔ありました。

で、この本読んでまたそういうことをふと思いだしてしまったわけです。

ということで、「今の日本は幸せなのかしら?」と憂国する人や、この本の不思議世界を体験したい人や、ニングルって何?って人は読んでみてください。

本当に面白いです。はい。

›2003年12月03日

調理場という戦場

Posted by hebee at 01:47 / Category: BOOK / 56 Comments / 1033 TrackBack
調理場という戦場 ほぼ日ブックス

この「調理場という戦場」という本は、前に紹介した「海馬/脳は眠らない」の「ほぼ日ブックス」の一つで、Amazonで一緒に紹介されており、ずっと気になっていた。

こないだやっと買って一気に読んでみた。というか一気に本に読まされたというか。

本の作者はフランス料理のシェフで、フランスでの修行時代に試行錯誤しながら学んだワーク・スタイルを記述している。

しかし、このワークスタイルというのは、調理場だけではなく全ての仕事(そして生活)における原点に共通しているような感覚に襲われる。でも多分そうなんだろうなあ。

仕事をしていて、嫌になったり、恐れたり、飽きたりという時期が必ずくるものだと思う。いつまでも楽しい!なんてことはありえないと思うし。でも、そうしたときにそれを乗り越える何かが心にあるかというと、うっすらとしたものがあるだけで、うまく形にはなっていなかった。

しかし、この本を読んで何をしなければならないか?というか、仕事に対して自分はどうあるべきか?というのが少し分かった気がする。そしてそれを知るためにこれから試行錯誤していく勇気を得ることができたなあと思う。

とにかく、素直に「いい本だなあ~」と思った。淡々と経験を書きつつもそこには口先ではない、非常に深みをもった哲学が滲み出しています。

作者の斉須さんの料理もこうした試行錯誤の上に成り立った、戦場で作られている料理なのだと思うと、一度食べてみたいな~と思う。でも高そうだ。(笑)

ほぼ日刊イトイ新聞の「調理場という戦場」

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